「大阪府民の集い」閉会ごあいさつ



閉会にあたりまして、ふたつのことを申し上げます。

ひとつは今の政府のやり方では残念ながら拉致被害者の救出はできないということです。
ちょうど10年前の2006年(平成18年)9月、拉致問題に熱心な安倍首相が誕生して、拉致問題対策本部ができ、自らが本部長となりました。
安倍さんならやってくれるだろうと、私は大いに期待をしましたが、肝心の拉致問題担当大臣が、被害者の救出を任務とすることはなく、しかも、10年間のうち何と16人の大臣が交代する始末で、一人平均の在任期間はたった7.5か月という状態となりました。

今の加藤大臣は拉致問題以外に5つもの特命事項を兼務しており、北朝鮮との交渉は相変わらず外務省のみが行い、国会のなかでは「対話と圧力」「行動対行動」「国際連携」という言葉がむなしく響いているだけです。私たちが政府に提出した要望書には「拉致問題対策本部」ではなく、首相が直接指揮をする「拉致被害者救出本部」を作り、民間も含めて精鋭を選りすぐった態勢を作って、拉致被害者救出を実行すべきだ、と書きましたが、政府はいっこうに聴く耳をもちません。

先月には、衆議院・参議院の拉致問題特別委員会に所属する議員45名に、拉致被害者救出についての現状認識と、いかに救出するかについてアンケートを出しました。回答があったのは9名、全体の2割にすぎませんでした。もっとも今回招集された臨時国会で、委員会のメンバーが、一部差し替えられるというタイミングになってしまったということもありますが、今後も引き続きアンケートを進めて、いずれ最終結果を報告したいと思っています。

新しい拉致特別委員会では、衆議院の委員長に城内実議員、参議院の委員長に山谷えり子議員が就任しています。青山繁晴参議院議員もあらたに委員会に加わっています。
多少は期待できる委員会になったとは思いますが、引き続き私たちは注目し、国民の思いを果敢にぶつけていきたいと考えています。
政府にも国会にも、もっと本気でやれ!と言い続けていこうと思っています。
国民が声をあげないと、政府や議員はすぐサボります、と、先ほど高世さんもおっしゃいました。

もうひとつは、国民の中で拉致事件への意識が希薄になっていることです。
万一、救出できないまま、拉致被害者やそのご家族が亡くなってしまったら、この拉致問題は歴史の闇に沈んでしまうのでしょうか。

お手元に私たちの勉強会で使った1枚の資料を入れています。年配の方がこの資料を読まれると40年、50年前の、断片的な記憶がよみがえってくると思います。その記憶の中から、拉致事件がなぜ起こったのかをぜひ自分自身で考えていただきたいのです。

そして今も堂々と日本に居座っている朝鮮総連と拉致との関わり、当時日本政府にどんな問題があり、北朝鮮に付け込まれたのか、若い世代の人たちと話し合っていただきたいのです。国民がそうすることが、真に強い国を作るのだと思います。

この夏、NHKで「よど号」事件の顛末を、「アナザーストーリー」という番組でやっていましたが、そのなかで何と「拉致事件」には一言も触れませんでした。私は愕然としました。こうしたメディアの不勉強も指摘していかなければなりません。いや、不勉強ではなく、意図的な拉致問題の隠ぺいかもしれませんが、もしそうなら言語道断です。

要は私たち国民がしっかりしないと、何の罪もなく拉致され、祖国の助けを受けられず、人生を犠牲にされた被害者は報われないということを申し上げたいと思います。

昨年の10月に拉致問題フォーラムを開催したことを機縁に、今日も大阪府内の自治体の人権担当者の皆さんがたくさん来てくださっています。ありがとうございます。
引き続きご一緒に拉致問題とその解決のために勉強し、拉致教育・啓蒙に努めましょう。

議員の皆さんも、「拉致問題は票にならない」という情けない言葉を払しょくしていただき、「「拉致を語らないと、国民に叱られる」という状況を作り出してください。

私が申し上げたいことは以上です。

全員救出に向けて、あきらめずに頑張りましょう!

本日はありがとうございました。

以上